当社が携わった「清内路水力発電所 新設工事の内 土木・建築本工事」が、日建連表彰2024「第5回土木賞」を受賞しました。

受賞理由
気候サミットにおける2030年温室効果ガス46%削減の達成に向けた水力発電の取り組みとして、環境・地域に調和した中小水力発電の新規開発が求められている。
このトレンドに沿った本工事は、巨大な堤体を必要とするダム式と比較し、河川に設けた小規模堰堤を用いて取水することで、低コストかつ低環境負荷の水力発電が実現可能な、流れ込み(自流)式水力発電所(年間発電量2,900万kwh)の建設プロジェクトである。
建設費最小化のため、堰堤からヘッドタンクとなる水槽までの約5kmの導水路トンネルを掘削可能な最小断面積の設計とし、国内で施工実績の無い極狭小断面のNATM工法レール方式を採用するとともに、水槽から発電所までの約200mの水頭差を構成する水圧管路には溶接不要で接合の容易なFRP(M)管を用いた。
NATM工法の狭小断面への適用は近年の施工実績も少ないため、経験者も非常に少なく専用機材の老朽化による不具合が多発したが、改善と工夫でこれらに対処した。また、削孔、ずり出し、吹付の3種類の機材の車両編成とし、坑道内における車両の入れ替え/待機のために設置するレール拡幅部の位置を最適化することで、施工サイクルタイムを短縮した。
車両の走行時には、付近の作業員の退避が必要な極狭小断面での作業であったため、接近警報、自動ブレーキ等の各種安全対策を実装し、無事故・無災害で工事を完遂した。
急峻な250m上の水槽工事には、長距離圧送時のコンクリートの性状最適化により工期短縮を図り、水槽から発電所に取水を導く水圧管路工事には、資材運搬用モノレールを敷設すると共に、専用のモノレール運搬台車を開発することで資材運搬の効率を高めた。
本工事は、環境省により「星が最も輝く場所」と指定された現場の環境に配慮しつつ、施工関係者との協力のもと、種々の不具合対策や上記の施工上の工夫を重ね、無事故無災害で水力発電所建設を完成させたことが評価され、日建連表彰土木賞に値するものと認められた。